法定相続人でない親族が預金を引き出していたら?―相続で実際に起こっている問題
法定相続人は一人。ところが、生前はほとんど交流がなく、どのような財産があるのか分からない――。
このようなご相談は、決して珍しくありません。
特に、おひとり様の相続や、法定相続人の方が遠方に住んでいて疎遠だったケースでは、「通帳の存在すら知らなかった」ということもあります。
そしてしばらくしてから判明するのが、「法定相続人ではない親族が、亡くなった方の預金を引き出していた」という事実です。
なぜこのようなことが起きるのか
銀行口座は、金融機関が預金者の死亡事実を把握するまで凍結されません。
そのため、亡くなられた直後にATMなどで出金できてしまう場合があります。
また、生前から通帳やカードを預かっていた親族が、
・「頼まれて管理していた」
・「葬儀費用に使った」
・「もともと自分に渡すつもりだった」
などと説明することもあります。
しかし、法律上、被相続人が亡くなった時点で財産は相続人に引き継がれます(民法896条)。
したがって、亡くなられた後に無断で出金すれば、相続人の財産を侵害していることになります。
実際どのくらい多いのか
公的な統計の数字はありませんが、遺産分割や金銭返還請求の事件では、「使い込み」が争点になることは少なくありません。
実務感覚では、相続トラブルの中で一定の割合を占める典型的な紛争類型といえます。
特に次のような条件が重なると発生しやすくなります。
・被相続人が高齢で単身
・一部親族が財産管理をしていた
・相続人が遠方に住んでいた
・生前の金銭管理が不透明だった
発覚したらどうすればよいか
まずは、死亡日時点の残高証明書や取引履歴を取り寄せ、事実関係を確認することが重要です。
出金の日時と金額は客観的な記録として残っています。
そのうえで、法的に返還を求めることになります。
感情的に責めるのではなく、証拠に基づき冷静に対応することが大切です。
弁護士さんへ依頼することも考えましょう。
生前の備えが最大の予防策
このようなトラブルの多くは、「財産の所在が分からない」「誰が管理しているか不明」という状況から始まります。
・財産目録を作っておく
・遺言書を作成する
・信頼できる人を明確にしておく
これだけでも、紛争リスクは大きく減ります。
相続は「起きてから」ではなく、「起きる前」に備えるものです。
交流が少ないご家族関係であればこそ、なおさら準備の重要性が高いですね。
まとめ
親族間でトラブルが起きると、弁護士費用などのお金の問題もさることながら、親族に裏切られたなどの心理的負担がかなり大きくなります。相続人にそのような負担をさせないよう生前の備えをお願いします。

