茨城県桜川市の薬王寺へ——紅葉は終わっていたけれど、静かな歴史の息づくお寺
薬王寺は、桜川市や観光協会のホームページでも紹介されているように、紅葉の名所として知られ、「もみじ寺」という別名を持つほどの人気のお寺です。私は、先週薬王院に行くまで、薬王院と薬王寺は同じお寺と思い込んでおりました。お恥ずかしい限りです。そこで今週は、薬王寺に行き、その違いや魅力をそれぞれ味わってきました。
私が訪れたときは、残念ながら紅葉はすでにほとんど終わっていました。しかし、境内を歩き始めると、地面いっぱいに敷きつめられた落ち葉がふかふかと足に心地よく、まるで自然のじゅうたんの上を歩いているようでした。色づいた葉は少しだけ残っており、冬の柔らかな光に照らされて、静かに輝いていました。華やかさはないけれど、季節がゆっくりと移り変わっていく美しさを感じる時間でした。
山門の前では、江戸時代にこの地域の再建に尽力した二宮尊徳(にのみやそんとく)像が、訪れる人を静かに迎えてくれます。二宮尊徳といえば、子どもの頃に見た「薪を背負って本を読む像」、隣町である栃木県真岡市のイメージが強かったのですが、桜川市とも深いゆかりがあったとは初めて知りました。歴史のつながりを思うと、なんだか不思議なご縁を感じます。
本堂へと向かう道を進むと、午後の光がやわらかく差し込み、とても落ち着いた雰囲気に包まれていました。参拝を終えてふと振り返ると、鳥の声だけが境内に響き、日々の慌ただしさをすっと手放せるような、心にゆとりが戻ってくる感覚がありました。
「薬王院と薬王寺は似た名前だし、桜川市にあるから同じなのだろう」と思い込んでいた自分にとって、この2週続けての寺院巡りは嬉しい誤算でした。それぞれに違った良さがあります。薬王院の荘厳さと静けさ、そして薬王寺の穏やかな風景。どちらも桜川市の魅力を感じさせてくれる場所ですが、薬王寺には特に “素朴なあたたかさ” を感じました。
紅葉は少し遅かったものの、そのおかげでゆったり歩くことができ、境内の静けさを存分に味わえたのはむしろ幸運だったのかもしれません。春には桜が見事に咲くそうで、季節ごとに違う景色を楽しめるお寺だと知り、ますます興味が湧いてきました。
自然に癒されたい方、歴史散策が好きな方には特におすすめの場所です。
次は桜が満開になる頃、もう一度足を運んでみようと思います。心がほっとする景色に、きっとまた出会えるはずです。






